為替

為替レート(2)

現代の主な為替政策

為替レートのうち、国際的な金融取引や貿易の決済に利用されることが多いアメリカドル(米ドル)との為替レートは最も重要視されています。2007年には1米ドルは95?125円の比率で交換されていました。

変動相場制と固定相場制

基準となる通貨とその相手通貨との関係には、変動相場制と固定相場制の2通りの方式が存在します。先進国の通貨の多くは主に変動相場制を採用していて、需要と供給の関係で日々異なる比率で取引されます。

ペッグ

一方、特定の通貨との間で為替レートを一定に保つことを「ペッグ」と呼び、米ドルとの固定相場制を維持することは「ドルペッグ」と呼ばれます。途上国は米ドルとの間で固定相場制を維持する「ドルペッグ」をする傾向が強かたのですが、近年、東南アジアなど一部の国においては通貨危機への対応を迫られた結果、相次いで変動相場制へ移行しました。

ペッグへの切り替え

また、貿易による経済規模の拡大や米ドルの下落などを受けて固定相場制の維持が難しくなってきた中国や中東諸国などでは、通貨バスケットへのペッグに切り替える、または切り替えようとする動きが見られます。

欧州における為替レート

欧州では、諸通貨間のレート変動を次第に抑制するとともに、中央銀行業務を欧州中央銀行(ECB)に統合する、各国政府が協調して一定の財政規律を確保するといった施策により、紆余曲折を経て、域内での為替政策の統一を実現し、共通通貨ユーロを誕生させました。ユーロは国境を越える最も強力な固定相場制を実現したことになりますが、これは単なる通貨ペッグではなく、経済政策の統一による単一通貨の制定という背景を伴っています。

スイスにおける為替レート

欧州のスイスではスイス中央銀行が、世界金融危機(2007年-)以降で欧州とりわけユーロ圏の経済情勢が悪化しているために比較的安全なスイスフランへ逃避資金が流れ込みスイスフランが急騰している状況に対応するため、1ユーロ=1.2スイスフランという防衛ラインを設定し、その水準以上にスイスフラン高になった場合には無制限に外貨を購入しスイスフラン安誘導する決定を2011年9月に下しました。スイス中央銀行は大規模かつ継続的フラン安にするよう取り組んでいくとしています。

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為替レートと賃金水準

現在の為替レートで各国の賃金水準などを比較した場合に、大きな差が出る場合があります。例えば日本は一人当たりGDPが37000ドル程度ですが、ベトナムはおよそ500ドルです。これを単純比較すると日本の賃金水準が70倍程度高いことになりますが、ベトナムは日本よりも物価が安いため、所得が低いからといって購買できる量に70倍もの差がつくわけではありません。こうした実情を踏まえ、物価を考慮した購買力平価で調整した後の一人当たGDPは日本が30000ドル、ベトナムが3000ドル程度となり、その差は10倍程度になります。

実効為替レート

日本では日本円と米ドルの相場に注目が集まりますが、国際市場への参加者は他にも数多くあり、それぞれが自国通貨を持って変動相場制の下で貿易が行われているため、特定国間の為替レートだけを見ても国際市場における当該通貨の価値を知ることはできません。外国為替市場における諸通貨の相対的な実力を測るための指標として実効為替レートがあり、これは中央銀行や国際決済銀行などが算定し、適宜公表しています。

実質実効為替レートの留意点

「実質実効為替レートで見れば円高ではない」などの言葉が安易に使われることがありますが、これは適切でない使われ方をしている場合も多いです。日本銀行の解説にもあるように、実質化(どのようなデフレータを使用するか)、実効化(どのような通貨ウェイトで加重するか)の両面において様々な論点があります。分析しようとする目的に合ったデフレータおよび通貨ウェイトであるかを確認する必要があります。

過去の実質実効為替レート
たとえば、企業の競争環境を分析しようとする時にデフレータとして消費者物価指数を用いたり、あるいは貿易額を通貨ウェイトとするのは望ましくありません。これは、賃金などの企業のコストと消費者物価指数は乖離していること、アメリカ市場で第三国と競争している時にはドル円ではなく、その第三国の通貨と円の関係が問題になることなどによります。
注意点
また、ウェイト替えに伴う遡及改訂をどのように行っているかも注意が必要な点であり、現在のウェイトを元に過去を遡及改訂するような統計の場合、過去の値が持つ意味をよく吟味しなければなりません。その他にも過去と比較する際には、実質実効為替レート水準の高低をただ比べるだけではなく、経済情勢や経済構造の変化など、様々な留意点があります。
為替 EXCHANGE!

両替商の為替レート表示

ニュースや新聞等で報道される「1ドル=110円10銭?110円20銭」などというレートは、銀行間での外国為替取引を行うときのレートで、銀行間相場と呼ばれるものです。

銀行間の取引

各銀行は、その日の対顧客(輸出・輸入企業や個人など)については毎営業日の午前9:55分のスポットレートを基に10時頃に仲値と呼ばれる基準相場を発表し、銀行間相場が大きく動くことが無い限り、(銀行間相場が細かく動いたとしても)日中はその相場を基に取引を行うことが多いです。東京市場では、以前は大手行の当番制で共同して用いるドル円の仲値を定める慣行がありましたが、現在は異なります。

銀行間の取引と通貨

なお、銀行間での取引は、どの通貨も対(アメリカ)ドルで取引が圧倒的に多く、例えば円とタイバーツなど各国通貨との直接取引きの金額は殆どありません。このため、各国通貨と円の為替レートは、当該通貨の対ドル相場と、ドル円の相場との合成として計算されることが一般的となっています。

為替レートの表

為替レートの表示の仕方は、1ドルが120円という表示の仕方と、1円が1/120ドル=0.00833ドルという表示の仕方があります。ほとんどの通貨では1ドル=120円、あるいは1ドル=700韓国ウォンというように、米ドル1ドルに相当する各国通貨額を使うことが慣例です。例外は、英国ポンドやユーロなどで、1ポンド=1.9ドル、1ユーロ=1.25ドルなどと表示することが慣例となっています。

外貨預金・外為取引

一般個人が、銀行に外貨預金を依頼する場合、おおよそ数~10%程度に相当する手数料分(銀行などで多少異なる;外貨1単位に対して何円という料率が普通)がレートに織り込まれます。そのため、かつて一般的だった「ドル円片道1円」と呼ばれる手数料率(仲値と取引に用いられるレートの差が1ドル当たり1円であることをいいます)において、取引相手の銀行の仲値が1ドル=110円だったとすると、外貨預金への預け入れ、払い戻しや、外国送金の取り組み、円貨での受け取りに使われるレートは下記の通りです。

  • 円→ドル(TTS)1ドル=111円
  • ドル→円(TTB)1ドル=109円

為替色々

仲値ないし銀行間相場と、対顧客相場の乖離が比較的小さいのは、米ドルやユーロでしょう。取引量の少ない通貨では相場の乖離幅(銀行の利幅)が大きくなる傾向があります。その他、貿易取引に使われるレートや、為替予約と呼ばれる先日付取引に使われるレートは、決済期日までの金利を勘案して定められます。外貨建てでクレジットカードを使った場合の決済相場は、請求票がカード会社の決済センターに届いた際の相場に、数%程度の手数料を加味した相場であるとされています。従って、国内で両替して海外で現金で支払うよりは、実質の為替レートが有利になる可能性があります。